ふじみ野で新たなまちづくりの可能性!~マチフェスと観光まちづくり~

第2回

マチフェス本番まで

第1回では、岡固さんがなぜマチフェスをやろうと思ったのかを聞きました。

もしまだご覧になっていない方は、こちらから読むことができます!

短く読みやすくしてありますので是非読んでみてください!

さて、今回のお話ですがタイトルにもあるようにマチフェス本番までの過程にどんな苦労があったのかを聞いていきます。

ではどうぞ!

榊原「マチフェスを企画し始めてから開催までどれぐらいかかりましたか?」

岡固「だいたい半年ちょっとでした。実際に市役所と打ち合わせが始まって物事が動いてから開催まではそのくらいですね。ただ社会的にコロナがあった関係で止まっていたのですが、自分の中には何年もプランがありました。事が動き出してから進みは早かったですね。」

榊原「そうなんですね。ありがとうございます。マチフェスを開催するまでに一番苦労したことは何ですか?」

岡固行政の打ち合わせと警察協議、事務的なことだと保健所などの手続きが私は全く0からのスタートだったので苦労しました。中でも一番大変だったのが警察協議で、道路の使用許可を取るのは難しいんだなって思いました。」

榊原警察協議ですか。確かになかなか大変そうですね。自分はよく分からないのですが、道路の使用許可を取るのにクリアしなきゃいけない項目が多いから難しいのですか?それともクリアしなければならない項目それ自体の難易度が高いのですか?

岡固「両方あるかとは思いますが、前者の方が強いかもしれないですね。最初自分が思っていた以上に警察側からいろんなものが出てきました。例えば、

  • 点字ブロックを塞いでいないか
  • 生活道路の確保はどうするか
  • 緊急車両はどこに停められるか
  • (アンブレラスカイをやるための)木の強度は安全なのか

などですね。ぶっちゃけ最初は『前例がない』のを理由に断られちゃいました。『お祭りとかもう昔からずっとやっていて認知度があるようなものは、じゃあしょうがないねってなるけど』と言われても、確かにそうだけど、いつまでも『前例がない』には負けていられないなと思い、ありとあらゆる協議に打ち勝つまでは一案二案じゃ足りないから、何案も作って提出して畳み掛けるという形で進めて行きました。ただ警察側は決してこちらに寄り添ってはくれない(こうするといいなどのアドバイスをくれない)ので、とにかく大変でした。」

榊原「なるほど。そういえば、マチフェス当日に並ぶ列が狭いなと感じたのですが、それは点字ブロックが関係していたのですか?

岡固「関係してます。そうなんですよ。道路は本来好きなように通れるじゃないですか、行く人と来る人がいると考えると二方向必要になります。大前提としてその日、確実に、生活道路の確保をすることが必要だったんですよ。なのでイベントスペースはあれがほんとにギリギリとれる広さでした。」

↑ 点字ブロックに被らないよう、二方向の生活道路が確保されている

榊原「そうだったんですね、、」

岡固「でも今回マチフェスをやってみて何かクレームが来たというのは嬉しいことに1件もなかったので、とりあえずそこは良かったです。」

榊原「クレーム0ですか!?すごいですね。何か対策とかはされたんですか?」

岡固とにかくキツすぎるぐらいやっていました。クレームって我々からしたら『そんなことで?』ってなるようなものだったりするじゃないですか、それに当日ごみが落ちていたとか、座って食べている人がいたとかが起きると全部我々のせいになってしまうし、クレームなんかもらっちゃったら今後マチフェスを続けることも難しいということで開催当日の前はすごくピリピリしてました。運営に参加してくれる人たちにも細心の注意を払うように言ってました。当日も列が乱れてはダメ、見た時に一方通行だと分かるようにするなどやりすぎるぐらいに対策をしていました。でも結果的にやりすぎるぐらいがちょうどよかったとは思います。」

↑ 列の整備をするお兄さん(画像中央)と、一方向に整えられた行列

ー 次回へ続く ー

今回の振り返り

最も印象深かったこと

今回のお話で、私はとある言葉が非常に自分の中でグッときました。それは、

誰もやらないことを、誰よりも泥臭くやる。

drtc.co.jp

この言葉は、私がお世話になっている人から教わった言葉です。

以前その人に「自分のやりたいことを成すために一番大事なことは何ですか」と尋ねたところ、「とにかく泥臭くやること」という答えが返ってきました。

その時に教わった言葉なのですが、ふじみのマチフェスを企画・開催した岡固さんにもよく共通していると感じました。

公道で全く新しいイベントをやるためには、それこそ警察協議など様々な壁があるため、今まで誰もそういったことをやろうとしませんでした。

しかし、ふじみ野のまちを盛り上げたいという思いでそれらを全て乗り越え、実現させたのが岡固さんでした。

警察協議に5回も行く。それだけでもすごいのですが、他にも色々な壁を乗り越えてきたことがお話の中から伝わってきました。本当に誰よりも泥臭くやっているなと感じます。

何かを成すために泥臭くやる、つまり諦めずに続けることが大事だということはこの事例からだけでも十分言えるでしょう。

当たり前のことだけど…

個人的にすごく学びになったのが、やりすぎるぐらいがちょうどいいということです。

何事にも徹底的な準備をするのが結果を追い求めるためには最善であるのは言うまでもないのですが、現実はそうもいきません。

準備にかかる時間や人員、お金などの様々な制限がかかる中で想定外の事態にも備えないといけないため、どうしてもどこか抜けが出てしまうというか、詰めが甘くなってしまいがちです。

それでも特に何も問題ない場合と、そうはいかない場合があるかと思いますが、要はより大事な場面とそうでない場面を上手く区別し、メリハリをつけることが大切であると気付かされます。

こうして文字に起こしてみると「何当たり前なことを書いているんだ」とつい修正したくなってしまいますが、当たり前なことを学ぶことこそ大事な学びだと感じたのでそのままにしておきます。

観光まちづくりに絡めてマチフェスを考えてみる

さて、今回のお話では私たちが観光まちづくりを学んでいく中で度々登場する「他者の視点」について関連付けられそうな内容が出てきました。

警察協議でクリアしなければならなかった項目の中に「木の強度は安全なのか」というものがありました。

一般人側としては、木に糸を括り付けて傘をぶら下げるなんて何も危険などないように見えるかもしれません。しかしながら、

警察側からすればその行為は危険なリスクを伴っているように見えるのです。

こんな風に、立場の違う主体から同じものを見ても全く見え方が違うのです。

観光まちづくりでは、そういった各利害関係者(ステークホルダー)の視点を理解する、すなわち客観的に物事を見る目が求められます。

地域を見つめ、地域を動かす

kokugakuin.ac.jp

これは、私たちが学んでいる観光まちづくり学部が掲げるスローガンです。

先ほど出てきた「客観的に物事を見る目」というのは、このスローガンの前半部分で発揮されます。

長らく特定の地域に住んでいると、例えば見える景色や伝わる文化など様々な地域としての魅力をごく当たり前のことだと感じてしまい、それを魅力だと気付くことができない場合が多いのです。

その現象は島根県隠岐島にインターンシップに行ったときに実際にそうであると感じた経験があります。

観光まちづくりとは、客観的な視点を用いることで地元の人が気付かない魅力や強みを発見し、それを効果的な手法で磨き上げていくことを目指す活動です。

ある意味地域全体で越境を起こそうとする活動とも言えるかもしれません。

ふじみのマチフェスを興した岡固さんがふじみ野地域の何を見たのか、

ふじみ野のまちは商店街が存在せず、チェーン店ばかりで経済活動に地域らしさという魅力をなかなか見出すことが難しいまちの現状。しかしそれはミクロな視点で見れば決してそんなことはなく、地域内にも魅力あふれるお店がちゃんとある

きっとこのような魅力に気付いたのだと私は考えます。

そしてその魅力を岡固さんは自身の得意なイベントという手法で磨き上げ、ふじみ野のまちを盛り上げました

その過程にはやはり地域住民の思いを受けたことや一緒に動いてくれる仲間ができたことなど様々あります。

これってまさに観光まちづくりではないですか!?

この企画の名前は「観光まちづくり発見記」です。

マチフェス当日に岡固さんと初めて会ったとき、

この人がやっていることは観光まちづくりと言えるに違いない、他にもそういうことをやっている人は多いだろう。でもそれを観光まちづくりであると知覚している人はどれぐらいいるだろうか?ならちょうどインタビューしようと思っていたし、きっと観光まちづくりと上手く絡めてインタビュー・発信をしていけばより効果的に広めることができる!

ということでこの企画を思いつきました。

私はこの企画を通して、観光まちづくりという全く新しい手法とそれを学ぶ場所があることを知ってもらい、皆さんが身の周りに起こっている活動で「これって観光まちづくりじゃない?」という発見や気づきが1つでも生まれることを願っていますという私個人のお気持ち表明で今回は終わりにしたいと思います^^

次回は第3回、マチフェスに行政がどう関わっていたのかについてのお話です!

お楽しみに!

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